コラム

No.42 フランスと核

 フランスは核保有5大国のうちのひとつであり、核兵器300発を持っているとされる。ひと桁異なるものの、フランスはロシアとアメリカに次ぐ第3の核保有国である。  

 2017年12月10日、非政府組織「核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)」がノーベル平和賞を受賞した。授賞式には、フランス含む核保有5カ国の駐ノルウェー大使が欠席するという異例の事態が示された。ICANが推進してきた核兵器禁止条約に反対する意思表明とみられる。日本も署名していない。フランスのジャーナリズムでは、管見の限り、受賞前夜と受賞直後の状況をただちに報道したのはAFP通信のみ、ICANの主要メンバーに対する受賞前の単独インタビューを報道したのはLibérationのみである。いずれも、事実を淡々と記述するというスタイルに留まっている。

 フランスは戦後、原子力開発をから核兵器開発へと変遷していった。1960年代にはサハラ砂漠とポリネシアで210回もの核実験を行ってきたことはよく知られる。一方、フランス政府は、核実験による被害の実態を伏せてきた。被害者たちが証言を重ね、調査と認定が進もうとするのは2000年になってからである。

 原子炉、核実験、核兵器の問題にみるように、フランスは核に幾重もの後ろめたさがあるはずである。だからこそ、居直り、情報を隠すのだ。これは日仏両当局に共通することでもある。日本は使用済み核燃料の再処理をフランスに依頼してもいる。核と日仏の浅からぬ関係は、今後、武器輸出の動向からも注視していかなければならない。