コラム

No.36 夫婦の年齢差

 2017年5月に就任したマクロン大統領は、39歳という若さに加えて、妻が24歳年上という点でも注目を浴びた。「フランスでは珍しいことではないの?」という質問を受けたこともあり、「夫婦の年齢差」についての日仏関連統計の一端を紹介したい。  

 フランスの夫婦(couple)は登録婚の他、パクセ及び自由婚(union libre)等があり、かつ同居している場合と別居している場合とがある。INSEE調査(2012年)によると、夫年上56%、ほぼ同年齢30%、妻年上14%である。全年齢層を対象としていることもあり、年上妻は予想より多くないが、1960年の10%に比べると増加している。高齢の夫婦程年齢の離れた年下妻の割合が高く、高学歴や管理的職業の夫婦は夫年上の割合が低いが、移民夫婦では年齢差の大きい夫年上婚が多いという(INSEE PREMIERE No1613)。     

 統計手法も対象も異なるので直接比較はできないが、日本の場合、2015年に婚姻届を出した登録婚の内、夫年上55%、同年齢21%、妻年上24%である。1960年には10,3%だった妻年上婚が日本でも急増傾向にあることが分かる(天野馨南子「年の差婚の希望と現実」ニッセイ基礎研究所、2017-02-02)。 夫婦の年齢差は社会経済構造とその変化の形態・速度等に関連していると同時に、それぞれの夫婦が形成する日常生活にも大きな影響を与える。夫婦の年齢差という観点からの歴史的・総合的日仏比較は興味深い研究テーマである。      

 マクロン氏のケースはフランスでもまだ一般的ではないが、社会通念を超えた夫婦のあり様を観察する良い機会かもしれない。