2011年度の全国母子世帯等調査によれば、日本では、母子世帯の子どもの内、別れて暮らす親から養育費を受け取っている子どもは19.7%、別れて暮らす親と面会交流をしている子どもは27.7%だけ存在する。つまり、養育費の受け取りや面会交流は子どもの権利であるにもかかわらず、日本では、このような子どもの権利が十分に守られていないのだ。
この点、家族の多様化が進み、ひとり親家族が多いフランスでは、これらの支援が充実している。各地の家族手当金庫(caisses d’allocations familiales:CAF)は、養育費の回収と、回収できなかった場合の立て替え払い(あるいは手当の支給)を行っている。また、CAFは、面会交流支援を行っている非営利組織に対して財政援助を行っている。ひとり親家族のための施設も、面会交流支援を積極的に行っている。私が訪れたパリ郊外にある、非婚の母親と3歳未満の子どものための施設にも、おもちゃがたくさん置いてある面会交流専用の部屋があった。また、フランスの非営利組織である「SOSパパ」によれば、原則、子どもと同居する親が、別居親と子どもとの面会交流を1回拒否すると執行猶予付きの罰となり、2回拒否すると実刑となるらしい。それ以外に、罰金も課せられる。(ただし、このような判決にならない場合もある)
ひとり親家族が増加する日本においても、養育費の回収(立て替え)を行うフランスのようなシステムを早急に構築する必要があると思う。また、非営利組織が、面会交流支援の場所を確保し、安定的支援を行えるように、公的機関による財政援助を活性化させる必要があると思う。