コラム

No.38 フランスの大学 オーケストラ体験

 私は現在Co-tutelle de thèseをやっており、2014年秋から1年間ストラスブール大学で指導を受けた。このとき、コントラバス奏者として大学オーケストラに入団したことは、留学中の面白い体験の1つであった。私は日本で長く演奏活動を続けているが、日本の常識を持ち込むと、あれ?と思うことがたくさんあった。

 演奏会に上下黒の衣装で、と指定された私は、黒ブラウスと黒ロングスカートを着た。そして浮いた。なぜなら、他の女性団員は黒ミニスカートだったからである!日本では楽譜を各自で製本する。私が製本した楽譜を持っていくと、何それ?日本式なの?と言われた。みんなバラバラの楽譜を飛ばしながら演奏していた。演奏会の日、指定された楽屋に入ると男女一緒の部屋で着替えをしていた。客席で着替えていた女性もいた。ベルギーに演奏旅行に出かけたが、宿泊先はやはり、と言うべきか13人男女混合部屋だった。これらに最初は驚いていたがすぐに適応してしまった。

 演奏会では寄付を募るために団員有志でお菓子を焼いたりおつまみを作ったりして、それを休憩時間にお客さんに振る舞っていた。面白く、良いアイディアだなと思った。ストラスブールという土地柄もあり、EU関係のイベントにも多く参加した。大聖堂の前でのフラッシュモブで第9を弾いたのは楽しい思い出の1つだ。

 団員はアジア系2名を除き全員白人で、大学内で会う他の学生たちに比べて身なりの良い子が多かった。入団はオーディション制で初心者は入団できないのだが、経済的余裕がないと幼少期から楽器を嗜むというのは難しいからだろう。

フラッシュモブ途中でEUのTシャツに着替えての第九演奏。