コラム

No.54 デュルケームのアウトライン

 基盤研究(B)「社会学のディシプリン再生はいかにして可能か――デュルケーム社会学を事例として」(課題番号:15H03409、研究代表者:中島道男[奈良女子大学]、2015~2018年度)の事務局スタッフをしている。

 この科研費研究では年に2回ニュースレターを発行している。最初の号を作るとき、タイトル部分に入れるために、デュルケームの顔の絵を描いた。私の画力はノートの端に落書きをする程度なのに、デュルケームの顔を眺めていたら描けそうな気がしてしまい、勢いで描いてしまった。口ひげとあごひげ、そして鼻眼鏡。デュルケームの顔のアウトライン(輪郭)をなぞった絵は、ニュースレターやウェブサイトなどに使ってもらっている。

 この「社会学のディシプリン再生とデュルケーム」科研も、今年度が最終年度。デュルケームを通して、社会学の成り立ち、社会学の展開、国際的な広がり、そして社会学教育まで、幅広く検討している。そのなかでの私の研究テーマは、ブルデューを通して見るデュルケーム。ブルデューの社会学を、デュルケームの概念や議論を直接的に引き継いだり乗り越えたりするものではなく、非明示的な形での継承の1ケースとしてとらえたいと考えている。ブルデューのなかに見出されるデュルケームの思考は、100年の時を越えて続く社会学のアウトライン(骨子)ではないだろうか。顔を描いたときのように、特徴をつかめるか。今度は勢いでは無理なので、あともう少しの間、じっくりと取り組みたい。

ニュースレターのデュルケームの顔